相続税評価は2000万円。でも売れば5000万円?

相続税評価は2000万円。でも売れば5000万円?

― 不動産を「どう分けるか」が難しい理由 ―

不動産専門FPの飯田康博(株式会社アイデザイン企画代表)です。

「この不動産は相続税評価で2,000万円くらいですね。」
そう言われて安心していませんか?

実はその不動産、
売却すれば5,000万円以上になる可能性があるとしたらどうでしょうか。
ここに、不動産相続の一番大きな落とし穴があります。

目次

■【相続税評価】と【売却価格】はまったく別もの

不動産には、実は“複数の評価”があります。

① 相続税評価

相続税を計算するための評価。
土地は路線価、建物は固定資産税評価額が基準です。
市場価格より低く出ることが一般的です。

② 売買価格(市場価格)

実際に市場で売れる価格。
需要や立地、タイミングによって大きく変わります。

つまり、
相続税評価=売れる価格ではありません。
相続税評価2,000万円でも、
市場では5,000万円で売れることもザラにあります。
逆に、評価は高くても売れない物件もあります。

ここを理解していないと、
分割の話が一気に難しくなります。

■なぜ不動産は分けにくいのか?

現金なら、きれいに分けられます。
しかし不動産は、
・物理的に分けにくい
・感情が入る
・価格の感じ方が人によって違う

という特徴があります。

▶例えば兄弟3人で相続する場合

相続税評価2,000万円の土地。
法律上は約666万円ずつ。
でも実際に売却すると6,000万円だったら?
1人あたり2,000万円です。
この差は大きいですよね。

■不動産を共有すればいいのでは?

相続の現場でよく聞く言葉があります。
「とりあえず3人で共有にしておけばいいんじゃない?」

一見、平等に見えます。

しかし私は、
安易な共有はお勧めしません。
理由は3つあります。

① 売却には全員の同意が必要

共有名義の不動産は、
1人でも反対すれば売却できません。
将来、
・1人は売りたい
・1人は住みたい
・1人は賃貸にしたい

こうなった瞬間、止まります。

② 修繕や解体の負担で揉める

屋根の修理が必要。
解体が必要。
そのとき、
「誰がいくら出すの?」
ここで関係が悪化します。

③ 次の世代へ問題が拡大する

共有のまま時間が経つと、
・相続人がさらに増える
・権利関係が複雑になる
いわゆる“権利のネズミ算”です。

気づけば、
10人以上の共有者。
売るにも話がまとまらない。
これは現実に起きています。

■解決策は、「2つの評価」を知ること

相続前に必ず確認してほしいことがあります。

この2つを知らないまま話し合うと、
・「評価は2,000万円だから大したことない」
・「でも実際は6,000万円の価値がある」
という認識のズレが起きます。
それが不信感につながります。

■渡す『親』が知るべきこと

親世代は、こう思っています。

「子どもたちで仲良く分けてほしい」

そのために必要なのは、
・自宅の正確な市場価格
・相続税評価額
・分け方の選択肢

を理解しておくことです。

「家は2,000万円くらい」と思い込んでいると、
実際の価値とのギャップが問題になります。

■引き継ぐ『子』が知るべきこと

子ども世代は、
・親の気持ち
・不動産の本当の価値
・将来の選択肢

を理解することが大切です。

評価を知らないまま共有にすると、
あとで必ず揉めます。

■私の役割

私は、不動産専門FPとして、
・相続税評価の確認
・市場価格の査定
・分割方法の設計
・共有回避の方法
・代償金のシミュレーション

を相続発生前に行います。

売却すると決めたら、売却専門家が動きます。

しかしその前に、
価値を正しく知ることが最優先です。

■まとめ

不動産の相続で一番危険なのは、
「なんとなく分けること」です。

相続税評価2,000万円。
市場価格6,000万円。
この差を知らなければ、
公平な話し合いはできません。

共有すれば安心、ではありません。
むしろ将来の火種になります。

だからこそ、
渡す側も、
引き継ぐ側も、
両方の評価を知ること。

それが、不動産相続を円満に進める第一歩です

投稿者情報
飯田 康博
飯田 康博
株式会社アイデザイン企画
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