高齢の親を持つ世代にとって、「親の終活」は避けて通れないテーマになりつつあります。
とはいえ、「どう切り出したらいいかわからない」「何から始めればいいの?」という声も多く聞かれます。
この記事では、親と一緒に終活を行うメリットや、子どもができるサポート内容、話し合いの進め方までを分かりやすく解説します。
「親が元気なうちに」始めることが、家族みんなの安心につながります。
目次
そもそも「終活」って何をすること?

終活とは具体的にどんなことを指すのですか?
「終活」とは、人生の最終章を自分らしく過ごすための準備です。
医療・介護・お金・相続・葬儀など、将来に関わることを整理し、「家族が困らないように」「自分の希望を叶えるために」考えておく活動のことをいいます。

終活は「死の準備」ではなく、「これからをより良く生きる準備」です。
親と一緒に終活を行うメリット
親と一緒に早めに終活を行っておくことは、以下のようにメリットがたくさんあります。
①意思を直接確認できる
「延命治療はどうするか」「どんなお葬式にしたいか」など、親の希望を直接聞けるのは元気なうちだけです。
話しておくことで、いざという時に家族が迷わず行動できます。
②相続トラブルを防げる
親子で財産の全体像を把握しておくことで、「知らなかった」「聞いていない」による揉め事を防止できます。
不動産や預貯金など、資産の整理を一緒に行うのもおすすめです。
③親の「やりたいこと」を実現できる
終活を通じて、親の「これから」を聞ける機会が増えます。
「昔行きたかった場所」「会いたい人」など、人生のやり残しを叶える時間を作ることができます。
④いざという時に慌てない
葬儀・相続・医療などの連絡先や手続きを把握しておけば、「どうしたらいいかわからない」という混乱を防ぎ、スムーズに対応できます。
⑤親子の絆が深まる
思い出を振り返り、価値観を共有する時間は、何よりも家族の絆を深める大切な時間になります。
まとめ:親と「終活」を進めるメリット
- 意思を直接確認できる
- 相続トラブルを防げる
- 親の「やりたいこと」を実現できる
- いざという時に慌てない
- 親子の絆が深まる
親の終活で、子どもがサポートできること

子どもができる「終活サポート」にはどんなことがありますか?
以下のような様々な場面においてサポートできることがあります。確認して、親御さんと話をしてみてくださいね。

―主なサポート項目一覧
| カテゴリー | 内容の一例 |
|---|---|
| ①医療・介護 | 介護になった場合の方針や延命治療の希望を確認 |
| ➁生活 | 今後の住まい・ペット・植木の世話などについて確認 |
| ➂財産管理 | 任意後見人契約や金融機関の代理人届を確認 |
| ➃整理 | 断捨離・デジタル遺品の整理を手伝う |
| ⑤葬儀・お墓 | 葬儀やお墓に関する希望の形式(家族葬・永代供養など)を確認 |
| ⑥記録 | エンディングノートの作成を手伝う |
—①医療・介護の希望を聞く
いざ、介護などが発生した場合に、「在宅で過ごしたいのか」それとも「施設を希望するのか」などを確認しておくことで、後悔のない選択ができます。
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📘参考サイト:厚生労働省 人生会議(ACP)
―➁生活、身の回りのことを整える
終活の第一歩として、「生活や身の回りを整える」ことはとても大切です。日々の暮らしを見つめ直し、使っていない物や不要になった持ち物を整理することで、心にもゆとりが生まれます。
物が減ると生活動線がスムーズになり、掃除もしやすく、快適な空間づくりにつながります。また、持ち物を把握しておくことで、将来的にも家族が整理に困ることを防ぐ対策のひとつとなってきます。
―➂財産管理の体制を整える
親の判断力が落ちたときのために、「任意後見人契約」を検討しておくのも一つの方法です。
「任意後見制度(任意後見契約)」とは
ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされています。

通帳や印鑑の保管場所、保険証券などについても家族で共有しておくと良いでしょう。
📘参考サイト:法務省「任意後見制度について」
—➃断捨離やデジタル遺品の整理をサポートする
体力を使う作業は、子どもの協力が必要です。写真や思い出の品を整理しながら、親の人生を振り返る機会にもなります。
—⑤葬儀やお墓のことについて希望の形式を確認
ある日突然、親が亡くなってしまう。そんなことも、ありえない話ではありません。待ったなしの「その日」に備えて、より親らしく望む形で送ってあげるためには、元気なうちに希望を聞いておく必要があります。
亡くなると、故人は霊安室へ移されますが、そこから次の場所へ安置されるまでは1時間~長くても3時間ほどと、さほど時間の余裕がないのが現実です。
- 安置場所はどこにする?——自宅?それとも葬儀社?
- 葬儀社だとすると、どの葬儀社に?
- 葬儀の規模は?(親族や友人などどの範囲まで予備?
そんなことを、矢継ぎ早に決めていかなければならなくなります。より親らしい最後を迎えてもらえるよう希望を聞いておくと良いでしょう。
—⑥エンディングノートを一緒に作成する
ノートに希望をまとめておくことで、家族みんなが安心できます。
親が元気なうちにしておきたい「終活・生前整理チェックリスト」
家族と共有したり、チェックを入れながら進捗の管理にもぜひ活用してみてください♪

親子で終活をする際に注意したいポイント

「終活」のことって、親にどう声をかければいいでしょうか?
終活という言葉は、「死の準備」と誤解されがち・・・。特に日本ではその傾向が強いですね。そのため、声かけの仕方には少し工夫が必要です。

✅ 話しかけの例
- 「今日はアルバムでも整理しようかな」
- 「次、いつ来られるかわからないから、今日のうちに片づけておくよ。何かやってほしいことは?」
- 「次に来るときの為に、してほしいことリストアップしておいて」
- 「元気なうちに、希望を聞いておきたいなと思って」
- 「家族みんなで準備しておけば、安心だよね」
- 「一緒にやりたいことリストを作ってみよう!」
「一緒に」や「安心」という言葉を入れることで、前向きな印象を与えられます。
終活は「親を尊重し、人生を豊かにするための時間」
ポイント
● 話すタイミングを大切に
-
体調が悪いときや気分が沈んでいるときは避け、落ち着いた時期に話しましょう。
-
● 一度に全部は話さない
終活は「少しずつ」進めるのがポイントです。
短い時間でも繰り返し話すことで、自然に共有できます。● 書面で残す
約束だけでなく、エンディングノートやメモにまとめておくことが大切です。
● 家族で情報を共有
兄弟姉妹など、相続人となる人にも内容を伝えておくことで、後のトラブルを防ぎます。

終活は「終わりの準備」ではなく、「これからの人生をどう過ごしたいか」を考えるための前向きな取り組みです。子ども世代がサポートすることで、親は安心して自分の希望を伝えられます。
そして、家族全員が「後悔しない選択」をできるようになります。
親との何気ない会話も、それそのものが後々、あなたの心を支える記憶として生き続けることと思います。
親御さんとの時間を大切にしながら、生きている「今」をイキイキと安心して過ごしてもらえるよう、一緒に進めてみてください。
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