〜悲しみの中でも、少しずつ前へ進むために〜
大切な親が亡くなったとき、心の整理もつかないまま、たくさんの手続きが必要になります。
「何をどんな順番でやればいいの?」
「遺言書があるって聞いたけど、どうすれば?」
そんな疑問を持つのは当然のこと。
ここでは、悲しみの中でも無理なく進められるよう、やることを順番に、やさしくまとめました。
目次
まずは気持ちを落ち着けることから
亡くなった直後は、葬儀の準備や手続きが次々に出てきます。
でも、まず大切なのは「焦らないこと」です。
親せきや信頼できる友人、葬儀社など、
まわりの人に手伝ってもらいながら、できることから始めましょう。
つらいときは“ゆっくりでもいい”って、自分に言ってあげてくださいね。

最初の3日〜1週間でやること
① 医師から「死亡診断書」をもらう
病院で亡くなった場合は医師が発行してくれます。
自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医や警察の確認が必要なこともあります。
② 葬儀社に連絡する
遺体の搬送や葬儀の流れをサポートしてくれます。
わからないことは小さなことでも聞いて大丈夫です。
③ 役所に「死亡届」を提出する
死亡届は亡くなってから7日以内に、市区町村の役所に出します。
これで「埋火葬許可証(かそうきょかしょう)」が発行されます。
葬儀のあとに確認しておきたいこと
葬儀が終わると、いったん落ち着きますが、
ここからが“次の段階”です。
① 遺言書の有無を確認する
相続の話を進める前に、まず「遺言書があるかどうか」を確認しましょう。
遺言書が見つかった場合は、勝手に開けてはいけません。
自筆の遺言書なら、家庭裁判所で「検認(けんにん)」という手続きを行ってから開けます。
(“公正証書遺言”の場合は、この検認は不要です。)
💬 ワンポイント
検認は“内容を確かめるための手続き”であり、
“有効・無効を決める”ものではありません。
遺言書がない場合は、家族全員で「どう分けるか」を話し合うことになります。
相続(そうぞく)の手続きの流れ
① 相続人を確認する
誰が財産を受け継ぐ人(相続人)になるのか、戸籍を取り寄せて確認します。
② 財産の内容を調べる
預金・不動産・株式・保険などをリストアップし、
借金がある場合も忘れずに確認します。
③ 遺産分割(いさんぶんかつ)の話し合い
相続人全員で「どう分けるか」を話し合います。
話がまとまったら「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」を作成します。
④ 名義変更や登記
家や土地の名義を変えるときは「相続登記(そうぞくとうき)」を行います。
2024年からは3年以内に登記することが法律で義務づけられました。
大切な「税金の手続き」
相続のときには、税金に関する手続きもあります。
◯ 準確定申告(じゅんかくていしんこく)
亡くなった方が働いていたり、年金を受け取っていた場合、
その年の所得税をまとめて申告する必要があります。
これを「準確定申告」といいます。
期限は亡くなった日から4か月以内。
税務署や税理士に相談すれば、必要な書類を教えてもらえます。
◯ 相続税の申告
相続する財産が多い場合、**相続税(そうぞくぜい)**の申告が必要になることがあります。
基準は「3000万円+法定相続人の人数×600万円」を超える場合。
たとえば、相続人が2人なら「4200万円」を超えたら申告の対象です。
期限は亡くなった日から10か月以内。
📘:関連記事:「相続税」について
税金のことは、早めに“聞いてみる”のがいちばん。
無理せず税理士さんに相談してOKですよ。

自分でやってみて、難しければ専門家へ
相続や税金、登記などの手続きは、
自分で進められる部分もありますが、途中でむずかしくなることも。
そんなときは、司法書士・税理士・行政書士など、
それぞれの分野の専門家に相談してみましょう。
できるところは自分で、難しいところは専門家に。
それが、いちばん安心で確実な方法です。

まとめ
親が亡くなったあとは、
悲しみの中で多くのことを進めなければならず、
とても大変です。
でも、焦らず、順番を知るだけで心が少し軽くなります。
- まずは葬儀と届け出
- 次に遺言書と相続の確認
- そして税金の手続きへ
一歩ずつ、あなたのペースで進めていきましょう。
どんなに小さな一歩でも、それは“前に進んでいる証拠”です。
焦らずに、ひとつずつ整理していきましょうね。

