相続の対象となる財産にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、相続の対象になるもの、相続の対象にならないものについて解説していきます。
目次
遺産には「プラスの財産」と「マイナスの財産がある」

「相続財産」とは、亡くなった人(被相続人:ひそうぞくにん)が持っていた、
「お金になるもの」や「お金に関係する権利・義務」のことです。
大きく分けると、
■プラスの財産(もらうもの)
■マイナスの財産(引き継ぐ負担)
の2つがあります。
プラスの財産(プラスの相続財産)
① 現金・預金
銀行口座のお金や家にある現金など、もっとも分かりやすい財産です。
金融機関が亡くなったことを知ると口座はいったん凍結(とうけつ)され、出し入れができなくなります。
どの口座で何の支払をしていたか事前に知っておくと安心です。
② 不動産(ふどうさん)
家・土地・マンションなどの不動産は、価値が大きい財産です。
「誰が住み続けるか」「売るかどうか」など、
家族で話し合いが必要になることが多い部分です。
親名義のままの家や土地は、相続登記(そうぞくとうき)で
新しい名義に変える手続きが必要です。

③ 動産(どうさん)
車・バイク・宝石・美術品・家具など、“動かせる財産”です。
車の名義変更や保険の切り替えも忘れずに行いましょう。
④ 有価証券(ゆうかしょうけん)
株式や投資信託などの金融商品です。
証券会社に連絡し、名義変更や換金の手続きを行います。
⑤ 生命保険金
亡くなった人が契約していた生命保険で、家族(受取人)が受け取るお金です。
ここが少しややこしいポイントです。
法律上は「受取人の固有の財産」なので、相続の分け方(遺産分割)には入りません。
でも、相続税の計算では“みなし相続財産”として扱われます。
つまり――
お金を受け取った人の財産として、
相続税の対象に“みなされる”という仕組みです。
ただし、一定の非課税枠があります👇
500万円 × 法定相続人の人数分 は非課税
たとえば相続人が2人なら、
500万円×2=1,000万円までは税金がかかりません。
法律では“相続財産じゃない”けれど、
税金では“関係ある”――ちょっと不思議だけど大事なポイントです。


⑥ 死亡退職金
勤務先から「死亡退職金(しぼうたいしょくきん)」が支払われることがあります。
どちらも、亡くなった方の働きへの感謝や、残された家族の生活を助けるためのお金です。
💡受取人が決まっているかどうかで扱いがちがう
死亡退職金には、「受取人があらかじめ決まっている場合」と「そうでない場合」があります。
| 状況 | 法律上の扱い | 税金(相続税)での扱い |
|---|---|---|
| 会社の規定などで 受取人が指定されている | 受取人の固有の財産 (相続財産には入らない) | 相続税の 「みなし相続財産」 として課税される (非課税枠あり) |
| 受取人が決まっていない (会社に「遺族へ支給」としか書かれていない) | 相続財産として扱われる (分け方の対象) | 通常の相続財産として 相続税の対象 |
⑦ その他の権利
・貸しているお金(貸付金)
・家賃や地代を受け取る権利
・特許や著作権などの知的財産
これらも金銭的な価値があるため、相続財産に含まれます。
マイナスの財産(マイナスの相続財産)
相続では、「もらうもの」だけでなく「引き継ぐ負担」もあります。
① 借金・ローン
住宅ローンや事業の借入金などは、原則として相続人が引き継ぎます。
ただし、生命保険付き住宅ローン(団信)は、亡くなると保険で完済されることもあります。
② 未払いの税金や医療費
亡くなる前に支払っていなかった税金や医療費なども、マイナスの財産として引き継がれます。
③ 保証人としての義務
亡くなった人が誰かの借金の保証人だった場合、その責任が相続人に移ることがあります。
ポイント💡
- 借金などのマイナスが多い場合は、「相続放棄」や「限定承認」という制度を使って、負担を引き継がない選択もできます。

相続できない財産(相続の対象外)
中には、法律で「相続の対象にならない」と決められているものもあります。
・年金(受け取る人が指定されている)
・医療保険の入院給付金など
・お墓・仏壇・仏具(祭祀財産:さいしざいさん)
これらは“個人の信仰や想い”に関わるものとして、分け方や税金の対象から外れます。
まとめ
相続財産には、次のようにいろいろな種類があります。
| 区分 | 代表例 | 特徴 |
|---|---|---|
| プラスの財産 | 預金・不動産・保険・株等 | 引き継ぐ価値のあるもの |
| マイナスの財産 | 借金・未払い税・医療費等 | 引き継ぐ負担 |
| 相続できない財産 | 年金・お墓等 | 法律で対象外 |
まずは「何が財産にあたるのか」を整理し、
不明な点は司法書士や税理士に相談するのが安心です。
まずは落ち着いて、何が残されているかを探してみましょう。

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