不動産の相続への備え

不動産の相続への備え

〜“今のうちに話しておく”ことが家族の安心につながります〜

あなたの家や土地の名義(めいぎ)は、だれの名前になっていますか?
「ずっと昔からお父さんのまま」「お母さんが亡くなってから、そのままになっている」
そんな方も多いかもしれません。

実は、この“名義のまま”という状態をそのままにしておくと、
あとで手続きがとても大変になることがあります。

今日は、「なぜ名義をそのままにしておくと困るのか」、
そして「今のうちにできること」について、やさしくお話ししていきます。

目次

名義(めいぎ)ってなに?

名義とは、「この土地や家は、だれのものですよ」という名前のことです。
登記簿(とうきぼ)という書類には、
「この家の持ち主は〇〇さん」と書かれています。

もしそれが“お父さん”や“お母さん”の名前のままになっている場合、
その人が亡くなったときに、
家や土地の名義を新しい持ち主に変える必要があります。

この手続きを「相続登記(そうぞくとうき)」といいます。


名義が親のままのままだとどうなるの?

たとえば、お父さんが亡くなってから何年もたつのに、
家の名義を変えないままでいると、こんなことが起きます。

  • 売りたいと思っても、売ることができない
  • リフォームや建て替えができない
  • 銀行からお金を借りることができない
  • 相続人が増えて、手続きが難しくなる

時間がたつほど、手続きに関わる人が増えていきます。
たとえば、お父さんのきょうだい、その子ども(いとこ)まで関係してくることも。

こうなると、誰か1人が勝手に動かすことはできません。
「話し合いがまとまらない…」と困る家族も多いのです。

実は「3年以内の相続登記」が義務に!

最近、法律が変わって、
2024年(令和6年)4月から「相続登記」は義務になりました。

つまり、親が亡くなってから3年以内に名義を変えなければいけません。
もし忘れていると、10万円以下の過料(かりょう=罰金のようなもの)がかかることもあります。

でも、あわてる必要はありません。
「今からできること」を少しずつ整えていけば大丈夫です。

親が元気なうちにできる話し合い

親が元気なうちは、「名義をどうするか」を家族で話しておくことがいちばん大切です。

たとえば、こんな会話から始めてみましょう。

  • 「この家は、将来どうしたいと思ってる?」
  • 「誰がこの家に住み続ける予定なの?」
  • 「もし何かあったら、手続きをどうしようか?」

難しい話ではなく、「今後どうしたいか」を聞くだけでもOKです。
家族で話しておくと、あとでみんなが困らずにすみます。

登記(とうき)の手続きって難しいの?

登記の手続きは、いくつかの書類を集めたり、法務局に出したりと、
少しややこしいところがあります。

中には「自分でやってみよう」と挑戦する方もいます。
書類の書き方や提出先は、法務局の窓口で教えてもらうこともできます。

ただ、実際にやってみると、
「書類の数が多い」「どこまで書けばいいかわからない」
「書き直しになってしまった」
など、
途中でむずかしく感じることも少なくありません。

そんなときは、司法書士(しほうしょし)に相談してみましょう。

司法書士は登記のプロ。
どんな書類が必要か、どんな順番で進めればいいか、
あなたの状況に合わせてやさしくサポートしてくれます。

名義を変えるのは「家族の安心のため」

名義を変えるというのは、ただの手続きではありません。
家族の“これから”を守るための準備でもあります。

「まだ親が元気だし、急がなくてもいいかな」と思っていても、
いざという時には時間も気持ちも余裕がなくなります。

元気なうちに「この家のこと、どうしようか」と話しておくだけで、
あとで心から「話しておいてよかったね」と思える日がきます。

まとめ

名義が親のままになっている家や土地は、
そのままにしておくと、あとで手続きが大変になります。

でも、今から少しずつ準備すれば大丈夫。

  • 家族で話してみる
  • 必要な書類を確認する
  • 専門家に相談する

この3つを意識するだけで、安心がぐっと増えます。