おひとりさまの「もしも」に備える

一人暮らしだからこそ、大切にしたい「もしもの備え」

まず大切なのは、自分のことを知ってもらう仕組みをつくることです。
一人暮らしの方ほど、まわりが知らない情報が多いもの。

特に、持病（じびょう）やお薬の情報は、いざという時に命を守る大切な情報です。
突然体調を崩しても、医師や救急隊がすぐに状況を把握できるようにしておくと安心です。

たとえば――

• かかりつけの病院や医師の名前
• 飲んでいる薬の名前と飲み方
• アレルギーや注意してほしい症状
• 緊急時に連絡してほしい人の名前と電話番号
• 銀行口座や保険の内容

こうした情報をノートやファイルにまとめておくだけで、
もし急に倒れたときも、まわりの人がすぐに助けてくれます。

最近では、「エンディングノート」という便利なノートもあります。
医療やお金、葬儀、連絡先など、自分に関する大切なことを
ひとまとめに書いておけるノートです。

💬 たとえば：

「持病があるから、いつもの病院で診てもらいたい」
「延命治療はこうしてほしい」
「お葬式は静かに家族だけで」

そんな自分の想いを書き残しておくだけで、
家族や友人、医療機関が安心して動けるようになります。

“迷惑をかけたくない”という想いこそ、未来への思いやり。
エンディングノートは、その優しさを形にする道具ですよ。

“一人”でも支えてくれる制度がある

一人暮らしの方を支える制度やサービスはいくつもあります。

◯ 見守りサービス

自治体や民間会社が行うもので、定期的に電話をくれたり、
一定時間反応がないと連絡してくれる仕組みです。
郵便局や電力会社の見守りプランもあります。

◯ 地域包括支援センター

65歳以上の方や家族が相談できる公的な窓口です。
介護・医療・生活・お金など、幅広い相談ができます。

判断力が落ちたときに備える「任意後見（にんいこうけん）」

病気や認知症などで判断がむずかしくなると、
銀行や契約の手続きができなくなることがあります。

そのときのために、信頼できる人に「将来の手続きをお願いする契約」があります。
それが**任意後見契約（にんいこうけんけいやく）**です。

元気なうちに契約しておくことで、
お金の管理や介護の手続きなどを安心して任せられます。

契約をするときは、司法書士や公証人（こうしょうにん）がサポートしてくれます。

亡くなったあとの備えもしておこう

もし身寄りが少ない場合でも、亡くなったあとのことをお願いできる仕組みがあります。
それが**死後事務委任契約（しごじむいにんけいやく）**です。

「葬儀や火葬」「荷物の整理」「役所への届け出」など、
自分の代わりにきちんと進めてもらえるようにできます。

司法書士や行政書士に相談すれば、手続きの流れをやさしく説明してもらえます。

また、遺言書を作っておけば、
自分の財産を信頼できる人や団体に託すこともできます。
寄付やお墓の希望なども自由に書き残せます。

まとめ

一人暮らしでも、準備をしておけば心から安心して暮らせます。

• 健康・持病の情報をまとめておく
• エンディングノートで想いを残す
• 信頼できる人や専門家に相談する

この3つを整えることで、
「もしもの不安」はぐっと小さくなります。

ひとりでも、ひとりじゃない。
あなたを支える仕組みと人は、きっとそばにいますよ。