不動産専門FPの飯田康博(株式会社アイデザイン企画代表)です。
実家や空き家について相談を受けると、よくこんな声を聞きます。
「使っていない家だから、とりあえず貸そうと思っています」
「売るのはもったいないので、賃貸に出せば収入になりますよね?」
確かに、空き家を貸すという選択は一つの方法です。
しかし、家を貸す前には必ず知っておくべき大切なポイントがあります。
本日は、そのポイントを解説します。
目次
家を貸す前には必ず知っておくべき大切なポイント
それが、
空き家特例(3,000万円控除)と、賃貸リフォームの現実です。
空き家特例とは?
まず知っておきたい「空き家特例」
※最初に補足しておきます。
相続した実家を売却する場合に使える
「空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)」は、主に戸建て住宅が対象です。
分譲マンションには基本的に適用されません。
この制度は、条件を満たすと
売却益から最大3,000万円を控除できるという非常に大きな税制メリットです。
しかし、この制度には重要な条件があります。
それは
売却までの間に、賃貸や事業に使っていないこと。
つまり、
・家を貸してしまった
・誰かが住んでいた
という場合は、
空き家特例が使えなくなる可能性があります。
そのため、
「とりあえず貸す」という判断が、
将来の税金メリットを失う可能性もあるのです。
家を貸すかどうかを決める前に、
・将来売却する可能性
・空き家特例の対象になるか
を整理しておくことが大切です。
家はそのままでは貸せないことが多い
家を貸すとき、多くの方が思うことがあります。
「そのまま貸せばいいのでは?」
しかし実際には、
多くの場合 リフォーム費用が必要になります。
例えば
・壁紙の張替え
・床の補修
・水回りの修理
・クリーニング
・設備交換
築年数が古い家ほど、この初期費用は大きくなります。
リフォーム費用は「家賃3年」で回収する目安
賃貸に出すとき、私がよくお伝えしている考え方があります。
それは
💡リフォーム費用は家賃3年で回収できる範囲にする
という目安です。
例えば
家賃8万円の場合
年間家賃➡約96万円
3年間 ➡約288万円
つまり、
リフォーム費用は
200万円〜300万円以内が一つの目安になります。
なぜ3年かというと、
賃貸には次のようなリスクがあるからです。
・空室期間
・設備故障
・修繕費
・入居者の退去
回収期間を長く設定すると、
途中で計画が崩れる可能性があります。
だからこそ、
短い期間で回収できる範囲に抑えることが大切なのです。
リフォーム業者に頼むと起きやすい問題
ここで、多くの方が悩むポイントがあります。
リフォーム業者に相談すると、
当然ですが 修理や交換の提案が出てきます。
なぜなら、
リフォーム業者は
直すことのプロだからです。
例えば工事を始めると、
・この配管も古いですね
・床も張り替えた方がいいですね
・キッチンも交換した方がいいですね
といった提案が出てきます。
これは決して悪いことではありません。
リフォーム業者としては、
・後から問題が出てほしくない
・「なぜ直さなかったのか」と言われたくない
・専門家として見過ごせない
という理由があります。
その結果、
工事がどんどん増えていくというケースがよくあります。
重要なのは「家賃とのバランス」
ここで一番大切なのは、
リフォーム費用と家賃のバランスです。
例えば
・500万円かけてリフォーム
・家賃8万円
これでは回収が難しくなります。
一方で、
費用を抑えすぎると
・古く見える
・内見で断られる
・空室が長くなる
という結果になります。
つまり、
かけすぎても失敗
かけなさすぎても失敗
なのです。
費用をかけるべきポイント
賃貸では、入居者が気にするポイントがあります。
・水回り(キッチン、浴室、トイレ)
・壁紙
・床
・照明
・清潔感
この部分は印象に直結するため、
ある程度の費用をかける価値があります。
逆に、
・高級設備
・デザイン性の高いリフォーム
は、家賃に反映されにくい場合があります。
そもそも需要があるのか?
もう一つ重要なポイントがあります。
それは
その地域で賃貸需要があるのか
ということです。
いくらリフォームしても、
・賃貸需要が少ない
・人口が減っている
・周辺に競合物件が多い
という場合は、
空室が続く可能性があります。
だからこそ、
市場調査が非常に重要です。
例えば
・そのエリアの家賃相場
・似た物件の空室状況
・入居者のターゲット
を確認する必要があります。
賃貸には想定外のことも起こる
家を貸すと、
予期しないことも起こる可能性があります。
例えば
・設備故障
・家賃滞納
・近隣トラブル
・退去後の修繕
賃貸は収入になる一方で、
管理の手間やリスクもあります。
まとめ
家を貸す前には、次のポイントを必ず整理してください。
- 空き家特例(3,000万円控除)は戸建て住宅が対象
- 賃貸に出すと特例が使えなくなる可能性がある
- 賃貸にはリフォーム費用が必要
- リフォーム費用は家賃3年で回収できる範囲を目安にする
- リフォーム費用と家賃のバランスが重要
- そもそも賃貸需要があるか市場調査が必要
- 賃貸には想定外のトラブルもある
家は大切な資産です。
貸すという選択も、売るという選択もあります。
だからこそ、
なんとなく貸すのではなく、仕組みを理解して判断することが大切です。
不動産専門FPとして、
私はそうした判断材料を丁寧にお伝えしています。
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